冬。
冬になると、何だか切ない気持ちになる。
冷たい風が肌をかすめると、遠い記憶が勝手に浮かび上がる。
小・中学生の頃。
寒い中登下校したあの日。
あの空気。
何故だか少し寂しくなる。
そういった空気感。
それを漫画で表現したい。
しかし、どうすればいいのだろう?
わからない……
「選ばれなかった人達より」は、氷河期を迎えた地球が舞台だが、それとはまた別だ。
あれでその空気感を出せているかは言い難い。
そういった空気感をどう出すか?
そういったものを研究するのも漫画を描くうえでの楽しみかもしれない。
自分が今まで読んだ中で、空気感が出ていた漫画はあるには有る。
だけど冬じゃない。夏だ。
「20世紀少年」の回想シーン。
ケンヂ達が秘密基地にいると、ヤン坊マー坊が「恋の季節」を歌いながら近づいてくるシーン。
(ずいぶん前に読んだので、そんなシーン無かったら申し訳ない)
何故かあの部分に感銘を受けた。
懐かしい夏の空気が伝わってきたのだ。
ちなみに僕は、その時代の人間ではない。
でも、懐かしかった。
何故だろう?
「恋の季節」という歌。
たぶん僕の親世代の時に流れていた歌だろう。
僕もかすかにそれを聞いた事があった。
その歌が、何故だか僕を過去へタイムスリップさせたのだ。
「あの頃」の空気を歌で思い出した。
そして、リアルに描かれた絵。
その絵と相まって、「あの頃」の夏を感じさせたのだろう。
そうか。
空気感を出すには絵だけではだめなのだ。
あの頃を思い起こさせるようなアイテムが必要なのだ。
誰もが記憶の中にあるアイテム。
それが空気感を想像させる。
僕もその空気感を上手く表現したい。
研究は続く……