学校に行く途中、少年は巨大な鳥に攫われて雲上の巣へ運ばれた。
乱暴に台に下ろされた少年は、怯えながら鳥を見る。
すると鳥は、「お前に卵を見させてやろう」と言った。
「どうして僕なんですか?」と問う少年に、鳥はクケケと笑う。
「お前は覚えていないだろうが……」と言った鳥の目からは優しさが滲み出ていた。そして、言葉の続きを吐き出す。「私はお前に助けられたのだよ」
少年は何のことかわからないという顔をする。
「私はヒナの頃、巣から足を滑らせて地上に落ちたのさ。怪我をして、このままでは死んでしまうという時、幼稚園児だったお前が現れた」
そこまで聞き、少年は思い出す。
「あぁ……もしかして、ピーちゃん?」
「覚えてくれていたのかい?」
「うん」と言った少年は「忘れるわけがない」と笑みをこぼす。
「だって、友達になれたのにいつの間にか居なくなってたから……」
鳥はクケケと笑い、少年を見る。
「あまり人間の世界に長居するわけにはいかなかったからね」
「そうなんだ……」と言葉にした少年は「でも」と続ける。
「どうして僕が卵を見ないといけないの?」
鳥はバサバサと羽ばたき、「この世界で卵を見ていれば、お前は永遠の命を手にする事ができる」と言った。
「人間は寿命が短いからな。どうだ?嬉しいだろ?」
そう言われた少年は難しい顔をする。
「でも、家族や友達に会えないのは辛いかな……」
鳥はキョトンとして台に足をつける。
「私の好意を受け取ってくれないのかい?」
「ごめん……」と言った少年は、鳥の口ばしを撫でる。
「でも、たまにここに遊びに来てもいいかな?」
鳥はクケケと笑い「あぁ、いいぞ」と声を発する。
「しかし、ここは時間の感覚がバグってるから、来て戻った時は何年も経ってたりするぞ」
少年は驚き言葉を失う。
「それでもいいなら、また連れてきてやる」
少年は俯き考えた。そして、鳥に言う。
「いいよ。君も大事な友達だから」
鳥はそれがどれだけ恐ろしい事かをわかっていたが、そう言ってくれた少年に対して心配させる事は言わないでおこうと思った。そして鳥は、少年のためにはもう二度とここへ連れてこない方が良いだろうと心に決める。
「ありがとう」
と言った鳥は、クケケと笑った。
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はい。適当に描いた絵にストーリーを付けてみました。
いかがでしたでしょうか?何か久々に小説っぽいのを描きましたね。
ではまた!