突然空に黒い球体が現れて、地上の人や物を吸い込みだした。街はパニックになり、逃げようとしている時にコスプレをした男が現れて僕に言った。
「どこに行く気ですか?王子」
全く持って何を言っているのかわからない。しかし、このコスプレ男は不思議だ。黒い球体の吸引の影響を受けていない。
「まさか王子、私の事を忘れているのですか?」
コスプレ男はそう言い、僕の目を見た。
「なるほど、どうやらこの世界に転生した時に記憶を無くしたようですね」
もう、何を言ってるんだ?僕は早く逃げたいと言うのに……
「逃げる必要はないのですよ。ほら、もう気付いているのではないですか?」
そう言われて僕は周りを見た。すると、周りの物が黒い球体に吸い込まれて行っている。
「私の世界の住人はあれの影響を受けないのです」
意味がわからない……私の世界の住人?まるで別の世界から来たような言い方だ。
「さぁ、王子。この剣を持って戦うのです」
戦う?あの黒い球体と?
「あれは私の世界を破壊しつくしたのです。そして次にこの世界をターゲットにしたのです。いいですか?もしも向こうの世界を破壊された時のために、王子をこの世界に転生させたのですよ」
僕はやはり言葉の意味が理解できない。
「王子を逃がすためにそうしたのです。しかし、まさかこの世界にまでやってくるとは予想外でした」
コスプレ男は剣を差し出してくる。
「いいですか?もう逃げられないのです。こうなればここで決着をつけるしかない」
決着?僕の手は自然と剣に伸びていた。
「そうです。この剣を手に取り、戦うのです」
剣の柄を握ると、僕の頭の中に向こうの世界の記憶が流れ込んできた。そうか、僕は向こうの世界の王子だった。そしてあの球体が現れて、僕に仕えていた人たちはあの黒い球体と戦ったんだ。
だけど、黒い球体のチカラは強く、誰も敵わなかった。でも、王子である僕だけでも逃がそうと皆が力を合わせて、僕だけを異世界(この世界)へと転生してくれたんだ。
「王子。本当はこんな展開は望んでいなかったのです」
そうだそうだ。更に思い出したぞ。この目の前にいる男は僕に仕えていた剣士だ。
名前は確か、ココロネ。
ココロネは悔しそうな顔をして僕に言う。
「本当は王子には向こうの世界での記憶を無くしたまま、ここで日常を送り命を終えて欲しかったのです。しかし、私たちの力不足により、奴をこの世界に来させてしまった……」
僕は「いや……」と首を横に振る。「ココロネ達はよく戦ってくれたよ」
剣の柄をギュッと握る。そして僕は黒い球体を睨みつけた。
「もう逃げるのはやめだ」
僕は立ち上がり、剣を黒い球体に向ける。
皆が逃がしてくれたおかげで、この世界で十分と言えるほど楽しい生活を送れた。ここは第二の故郷だ。今度は逃げずに、この世界を守る。
僕は王子だぞ。
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はい。ってなわけで適当に絵を描きストーリーを即興で考えてみました。
それにしても服のセンスが壊滅的ですね。
仕方ないです。自分が選んで買う服もだいたいセンスが無かったりしますから……
ちくしょう!(;´Д`)